2026年6月6日土曜日

フランベルヌ・フォン・ツァンデリア|麟・カーネーションに憧れる吸血鬼の少女【御ナラティヴ】

 

フランベルヌ・フォン・ツァンデリア|麟・カーネーションに憧れる吸血鬼の少女【御ナラティヴ】

フランベルヌ・フォン・ツァンデリアは、原初のラスボス・オルカートの一族に連なる吸血鬼の少女です。通称はフランベルヌ。名字の「ツァンデリア」は「ツンデレ」に由来しており、彼女自身も普段からツンとした態度を取っています。ただし、フランベルヌの態度は単なる高慢さではありません。彼女は本来、家族思いで努力家な少女ですが、憧れの存在に近づこうとして背伸びをしているため、周囲には居丈高に振る舞っているように見えるのです。

フランベルヌの人生に大きな影響を与えた人物が、麟・カーネーションです。ある日、フランベルヌの住む町に麟・カーネーションが現れます。ちょうどその時、町は百人もの盗賊団に襲撃されていました。しかし麟は、その盗賊団をあっさりと倒してしまいます。圧倒的な強さ、堂々とした立ち振る舞い、そして町を救う姿を見たフランベルヌは、すっかり麟に憧れるようになりました。それ以来、彼女は麟のような存在になりたいと考えるようになります。フランベルヌが強気な態度を取るのも、麟・カーネーションを目指しているからです。

しかしその後、フランベルヌは麟・カーネーションたち勇者がオルカート討伐に向かったまま帰ってこなかったという話を聞きます。麟たちはオルカートの部下をほとんど倒していましたが、肝心のオルカート討伐からは戻りませんでした。フランベルヌは、憧れの麟が討ち死にしたと思い込みます。そして彼女は、麟の敵討ちをするために実家を出る決意をします。

フランベルヌはオルカートの一族ではありますが、オルカート本人を尊敬しているわけではありません。むしろ、彼女はオルカートを強く嫌っています。オルカートの家には四つの家があり、オルカートが当主であるクーデリア家、次男のデレデリア家、三男のヤンデリア家、四男のツァンデリア家が存在します。フランベルヌの実家であるツァンデリア家は、オルカートの四番目の弟が分家して作った家です。つまりフランベルヌにとって、オルカートは一族の近い場所にいる存在でした。

とはいえ、ツァンデリア家とオルカートの関係は良好とは言えません。オルカートは弟たちとは疎遠であり、フランベルヌの家でオルカートの話題が出ることもほとんどありませんでした。デレデリア家、ヤンデリア家、ツァンデリア家は静かに交流を続けていましたが、オルカートとは音信を絶っていました。なお、オルカートの妻と息子もクーデリア家を出て、遠く離れた場所で暮らしています。

それでも、吸血鬼社会の社交場では、フランベルヌがオルカートと顔を合わせることがありました。祖父に連れられて社交場へ出たフランベルヌは、何度かオルカートと会話をしています。しかし彼女は、そのたびにオルカートへ薄気味悪さを感じていました。さらに、オルカートとの対面を終えた後の祖父が、どこか疲れたような表情をしていたことも印象に残っています。そのためフランベルヌは、一族でありながらもオルカートを生理的に受け付けませんでした。だからこそ、オルカートに立ち向かった麟・カーネーションを、彼女は心から尊敬しているのです。

麟の敵討ちを決意したフランベルヌは、オルカートを目指して旅立ちます。その途中、彼女は大きな森にたどり着きます。しかしそこで数日間迷ってしまい、ようやく森を抜けた時には、自分の知っている世界とは異なる場所へ出ていました。最初は状況を理解できなかったフランベルヌですが、調査を進めるうちに、信じがたい事実を知ります。オルカートはすでにずっと前に倒されており、現在は麟・カーネーションたちがラスボスとして世界を治めているというのです。さらに麟たちは、勇者を育成・管理する勇者局を運営していました。

フランベルヌは、麟に会うため勇者局へ向かいます。そして勇者局へ入学しますが、肝心の麟・カーネーションとはなかなか対面できません。憧れの人物が生きていると知ったにもかかわらず、直接会う機会は訪れないまま、いつしか五年もの歳月が流れていました。

能力面でも、フランベルヌは非常に優秀です。オルカートの一族に連なる吸血鬼だけあって戦闘力は高く、さらに勉学にも励んでいるため、実務能力にも優れています。しかし吸血鬼社会では、オルカートの一族という立場ゆえに、その能力を十分に活かせる場所がありませんでした。吸血鬼社会ではオルカートが全てを決めてしまうため、フランベルヌは次第にその世界へ見切りをつけるようになります。

その一方で、勇者局ではフランベルヌの能力が高く評価されました。彼女は入学後すぐに中級勇者へ昇格し、現在は鬼ヶ島霊子の下で働いています。霊子に仕えながら実務をこなしつつ、フランベルヌは今もなお、憧れの麟・カーネーションと対面する機会を窺っています。ツンとした態度の奥にあるのは、憧れへの一途な思いと、自分の力で道を切り開こうとする強い意志なのです。