無理魔理矢は、勇者局を支えるラスボスの一角であり、世界最恐の魔法使いです。「無理魔理矢」の読み方は「むりまりや」ですが、どこからが名字で、どこからが名前なのかは不明です。本人は勇者たちに向かって「俺様は美魔女だぜ?」と謎の圧力をかけており、その奔放すぎる振る舞いから「あだ名」は暴走機関車。麟・カーネーション、チョイ・マチナと並び、国民からは「愛の三連星」と呼ばれています。
彼女の性格を一言で表すなら、本能の赴くままに生きる人物です。行き当たりばったりに見える行動も多いのですが、なぜか結果的には正解であることが多く、周囲はいつも扱いに困っています。幼少期からそういう性質だったらしく、普通の人間からはかなり浮いた存在でした。しかし、その後に麟・カーネーションやチョイナと出会い、三人は意気投合します。麟の豪快さ、チョイナの一本筋の通った性格、そして無理魔理矢の暴走ぶりは、一見すると衝突しそうにも思えます。ところが、三人には「自分の言動が周囲に理解されない」という共通した孤独がありました。そのジレンマこそが、彼女たちを結びつける心理的な要素だったのです。
無理魔理矢は魔族であり、魔族の国「アクエリアス」の統治者でもあります。この世界において魔族はもともと変わった存在ですが、その魔族から見ても無理魔理矢の変人ぶりは別格です。なぜなら、無理魔理矢は魔族でただ一人、オルカート討伐に向かった人物だからです。当時、大部分の魔族はオルカートに忠誠を誓っていました。そのため、無理魔理矢は同族とも戦うことになります。
オルカート自身も、なぜ魔族である無理魔理矢が自分を討伐しに来たのか、最後まで理解できませんでした。戦いの最中もその疑問が頭から離れず、集中を乱されることになります。しかも、当の無理魔理矢本人ですら、自分がなぜラスボス討伐に参加したのかを深く考えていません。理由はただ一つ、「面白そうだから!」。それだけでした。こうして、意味不明な行動原理で戦場をかき乱した無理魔理矢は、麟たちと共にオルカートを倒すことになります。
オルカート討伐後、無理魔理矢は自分に逆らう魔族をすべて討伐し、己の武力によってアクエリアスを抑えつけました。魔族たちは、何をしでかすかわからない無理魔理矢を恐れて、おとなしく従っています。この印象は魔族だけに限りません。世界中の多くの人々が、麟・カーネーションよりも無理魔理矢の方が怖いと感じています。麟は豪快で規格外ですが、無理魔理矢は予測不能なのです。
勇者局では、無理魔理矢は「B.B.A」の一員として、主に魔法、化学、錬金術などの技術方面を担当しています。ただし、彼女自身は学科を教えることはほとんどなく、専ら実践や実技を担当しています。実技指導では、勇者本人の才能を引き出すことに長けており、意外にも教え方はかなり上手い方です。一方で、座学については彼女の弟子たちが担当しています。
無理魔理矢が座学を担当しないのは、教えるのが苦手だからではありません。むしろ、理論そのものは完璧です。問題は、その理論が完璧すぎて常人の理解が追いつかないことにあります。そのため、無理魔理矢は自分が直接、下級勇者たちに講義することをやめました。その代わり、自分の思想を理解できる者をチョイナに推挙し、彼らを弟子として育てています。そして、その弟子たちが無理魔理矢に代わって、勇者たちに座学を教えているのです。
なお、無理魔理矢が危険な魔法を平然と使っているのは、みんなに魔法の危険性を教えるためだという説もあります。ただし、それが本当なのかどうかは謎です。単に本人が本能のままに暴れているだけかもしれません。さらに、無理魔理矢は人遣いが荒いことでも有名で、彼女の部下となった中級勇者が何人も逃げ出していると言われています。
戦闘能力において、無理魔理矢は特級勇者であり、ラスボスの一角にふさわしい圧倒的な実力を持っています。基本的には魔法を駆使した戦いを得意としますが、物理攻撃が苦手というわけではありません。魔力が尽きれば、彼女は魔女の箒を振り回して敵と戦います。もし箒が折れたら、今度は素手で殴りかかってきます。そして恐ろしいことに、彼女は拳で殴ってくる方が強いという、あまりにもデタラメな要素を持っています。
無理魔理矢は、理論と本能、知性と暴走、魔法と拳を併せ持つ規格外の存在です。誰にも理解されず、誰にも予測できず、それでもなぜか正解へ突き進んでしまう。その危うさと頼もしさこそが、彼女が「暴走機関車」と呼ばれる理由なのです。
